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自賠法の後遺障害規定

交通事故による後遺障害の「等級の認定は、原則として労働者災害
補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」とされて
います。

(1)後遺障害の定義(自動車損害賠償保障法施行令)
     自賠責保険でいう後遺障害とは、自動車事故により被った
             傷害がなおったときに、身体に残された障害のことをいい
          (自動車 損害賠償保障法施行令(以下「政令」といいす。)
             第2条第1項2号)、具体的には政令別表第一・第二の後
            遺障害等級表および別表第一備考・別表第二備考6に規定
            されている後遺障害がある場合をいいます。
     以下は、労働者災害補償保険における「障害等級認定にあたって
     の基本的事項」より抜粋しました。(労災保険障害認定必携(財
     団法人労災サポートセンター平成23年3月14日第15版67p)
  ●「負傷又は疾病(以下「傷病という。)がなおったとき」とは
    傷病に対して行われる医学上一般的に承認された治療方法(以下「療養」という。)をもって
            しても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的過
            によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときをいう。したがっ
    て、障害程度の評価は、原則として療養効果が期待し得ない状態となり、症状が固定したとき
    にこれを行うこととなる。ただし、療養効果が期待し得ない状態であっても、症状の固定に至
    るまでにかなりの期間を要すると見込まれるものもあるので、この場合は、医学上妥当と見込
    まれる期間を待って、障害程度を評価することとし、病状の固定の見込みが6カ月以内の期間
    において認められないものにあっては、療養の終了時において、将来固定すると認められる症
    状によって等級を認定することとする。
  ●「労働能力」とは
    「労働能力」とが、一般的な平均的労働能力をいうのであって、被労働者の年齢、職種、利き
    腕、知識、経験等の職業能力的諸条件については、障害の程度を決定する要素とはなってい
            ない。
     
(2)後遺障害の認定手順
    自賠責保険においては、傷害による損害に対する保険金(上限120万円)のほかに、後遺障
    害による損害に対する保険金として、1級~14級までの各等級に応じて、上限4,000万
    円(別表第一・1級)から75万円(別表第二・14級)までが定められています。
    この「後遺障害の認定」とは、当該後遺障害が別表第一の1級から別表第二の14級までのど
    の等級に当たるかを認定することをいいますが、自賠責保険では後遺障害の等級認定に係わる
    調査は、損害保険料算出機構が行い、最終的認定は自賠責保険会社が行います。
    損害保険料率算出機構では、治療にあたった医師が作成した後遺障害診断書をもとにそれまで
    の治療経過につき、診断書、診療報酬明細書の内容と、患部のX線写真、CT写真、MRI検
    査の結果やその他資料を検討し、顧問医の意見を参考にしてその後遺障害の等級認定を行い
            ます。
    上記手続きは自賠責保険に対して、「被害者請求」や「加害者請求」の場合に行われるほか任
    意保険会社が一括払いの前提として任意保険会社から損害保険料率算出機構に対して保険金の
    支払前にその認定を請求する、いわゆる「事前認定」という形で行われる場合があります。
    (注)CTとは「コンピューター断層撮影」のこと。MRIとは「磁気共鳴コンピューター断
       層撮影」のこと。

(3)異議申立のための手続き
    自賠責保険の等級認定に不服があれば、異議内容を書面に記し、異議申立てができます。異議
    申立の手続きとしては、下記のものがあります。
  ア、被害者請求(非一括払事案)の場合には、自賠責保険会社に対して異議申立書を提出します。
  イ、事前認定(一括払事案)の場合には、被害者が任意保険会社に異議申立を行い、任意保険会社
    が損害保険料率算出機構に対して事前認定に対する再認定に係わる調査の依頼をします。

(4)自賠責保険後遺障害等級と保険金額
    後遺障害等級表は、障害の程度を労働能力の喪失の程度に置き換え て、別表第一の1級から
    2級までの2段階、別表第二の1級から14級までの14階級の等級に区分されています。
    これ以外の後遺障害は政令別表備考6に「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、
    各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。」と定められています。
別表第一            (単位:万円)
   等級 1級 2級
後遺障害 4,000 3,000

別表第二                           (単位:万円)

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
3,000 2,590 2,219 1,889 1,574 1,296 1,051
8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
819 616 461 331 224 139 75


(5)後遺障害による損害
    後遺障害による損害には逸失利益と慰謝料、将来の介護料およびその他の損害があります。
    後遺障害による逸失利益は、その後遺障害が被害者の労働にどのように影響し、また、それが
    将来どの程度持続するかを予測して、これが被害者の将来の収入にどの程度影響をもたらすか
    ということを金銭的に算定するものです。
  ①逸失利益算定をめぐる2つの考え方
    ア、差額説
       受傷前の収入額と後遺障害残存後の収入額との差額を損害とする
                     考え方。
    イ、労働能力喪失説
       労働能力それ自体も1個の経済的利益とみて、後遺障害による労働能力の喪失・低下そ
       れ自体が損害であるとする考え方。
労働能力喪失率

障害等級 労働能力喪失率

第1級
第2級
第3級
第4級
第5級
第6級
第7級
第8級
第9級
第10級
第11級
第12級
第13級
第14級
100/100
100/100
100/100
92/100
79/100
67/100
56/100
45/100
35/100
27/100
20/100
14/100
9/100
5/100

②慰謝料
自賠責保険における後遺障害慰謝料額
別表第一       (単位:万円)

第1級 第2級
1,600万円 1,163万円

・別表第一に該当する場合は、上記金額とは別に、初期費用等として、第1級の場合には500万円、
 第2級の場合には205万円を加算します。
別表第二                             (単 位:万円)

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
1,100 958 829 712 599 498 409
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
324 245 187 135 93 57 32

*被扶養者がいるときは、第1級1,300万円、第2級1,128万円、第3級97万円となります。
*被扶養者がいるときとは、配偶者、未成年の子、65歳以上の父母のいずれかを扶養している場合を
 いいます。
 なお、未成年の兄弟姉妹等を扶養している場合は、実情に応じて被扶養者がいるものとして扱う場合
 があります。
 また、婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻と同様の関係にある場合については、民法上の配偶者
 に準して取扱ます。

柴田祥弘(シバタヨシヒロ)

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