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保険会社からの治療打ち切りへの対処

保険会社が治療を打ち切ると言ってきた場合、どう対処すればいいのでしょうか?
正確には、保険会社が治療を打ち切ることはできません。保険会社が打診しているのは当該事故による適正な治療の範囲はここまでなので治療費の内払い(立替払い=自由診療)を終了するということです。
では、何故保険会社は治療費の打ち切りを言ってくるのでしょうか?
それには2つの理由が考えられます。

①被害者の傷害が保険会社が基準としている治療期間を超えたため。(この基準は保険会社により異なっているかもしれません。)
 例えば、打撲であれば1か月が治療期間の基準とされています。これを保険会社ではD・M・K=1・3・6(ディーエムケーイチサンロク)と称しています。D=打撲1か月、M=むちうち3か月、K=骨折6カ月の意味です。これはその事故による適正な損害賠償の期間を限定するという側面もあります。

②現在の治療状況では症状は一進一退を繰り返すか、もうこれ以上治療しても症状の改善は見込まれな
 いと判断した。(労災保険における症状固定の状態)

保険会社が上記①②のいずれかだと判断した場合に治療費の打ち切りを言ってきます。
保険会社は定例の課内会議でそれぞれの担当者が被害者の現在の治療の状況や治療の経緯について発表しなければなりません。そのため被害者の治療状況を管理しています。
何故、そのようなことをするかと言えば、その月の支払計画(損害率といいます)を立てるためです。
一般の人は驚くかもしれませんが、保険金の支払額についても計画額があります。(営業職がその月の売上額についての計画額があるのと同じです。)
当月の支払計画を達成しるため、どうしても支払わなければならない保険金を翌月に繰り越すとか、治療費を抑えるために打ち切りをするという方法がとられます。(損害率は50%~60%の範囲、平均的には55%くらいです。)
治療費の打ち切りはこのような意味で行われるのです。
保険会社から治療費の打ち切りを言ってきた場合には、 被害者の方は主治医の先生に現在のけがの状態と今後の治療の見通しなどについて意見を聞かなければなりません。
もし、主治医の先生が保険会社と同じ意見であれば治療は終了となります。
主治医の先生にあとどのくらい治療すればなおるかという具体的意見(現在の状態と今後の見通し)があれば、その意見を保険会社に伝え治療を継続(治療費を内払いしてもらう)することを了解してもらうことが必要です。

交通事故の診療を自由診療(保険給付外診療)で開始し、治療継続中に健康保険に切り替えて保険給付診療にすることはできません。医療機関によっては、切替後の診療は交通事故での傷病とは別の傷病の扱いとし健康保険での診療を継続します。当然、保険会社はこの健康保険での診療を交通事故による診療とみなしません。また、保険会社は健康保険への切替を利用して治療の打ち切りをすることもあります。
もし、保険会社が自由診療継続中に健康保険での診療を打診してきたら十分注意してください。

後遺症が残存していると判断された場合は別として、治療を続けるにはその治療費を被害者が負担することになります。これを自費診療といいます。自費診療とは保険給付診療に対する言葉で自由診療(保険給付外診療)のことです。この治療費は示談交渉の際に保険会社に請求します。しかし、保険会社は打ち切りを打診しているのでその後の治療費を支払うかどうかはわかりません。

これに関して次のような事例があります。
保険会社の担当者が主治医の先生に、今後の治療費については健康保険で行ってほしいと依頼しました。それに対して主治医の先生は怒って保険会社に電話を入れました。そしてこの患者さんの現在の状態と今後の見通しを説明しました。その結果、その後2ヶ月間それまでと同じように保険会社からの治療費の内払い支払(自由診療)で治療を継続し、その結果、後遺障害等級の認定を受けました。

このように、主治医の先生の治療の見通しについての見解がなければ治療を継続することは難しくなります。

もうひとつ、被害者の方が判断する資料として、これまでの治療についての診断書と診療報酬明細書が保険会社にありますので、その写しを送ってもらって治療経過についてよく確認することも必要だと考えます。

 

柴田祥弘(シバタヨシヒロ)

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